C16探究活動WorkBook(教員向け) 1.8.現代の課題の考え方

日曜日, 8月 01, 2021

教員向け 探究活動の進め方

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 バックキャスト思考については,沖永良部高校赴任中に知り合った石田先生の著書『光り輝く未来が、沖永良部島にあった! - 物質文明や金融資本主義社会はもう限界です - (ワニブックスPLUS新書)』を参考にしました.大変読みやすい本なので,ぜひ参考にしてください.

 フォーキャストとバックキャストの大きな違いは,

  • 困難を排除してあるべき姿を実現するのがフォーキャスト
  • 困難のうち真の制約は受け入れて,真の制約の中であるべき姿を実現するのがバックキャスト

 真の制約を受け入れる分だけ,バックキャストの方が現代の課題を早く解決できる可能性が高くなります.しかし,バックキャストで解決の道筋を見出したら,フォーキャストでその他の困難は潰していかなければなりません.バックキャストとフォーキャストは互いに補い合うものであること理解しましょう.

 バックキャストにおいて,難しいのは真の制約は何かを見極めることです.石田先生はこの点についてシンプルクエスチョン(簡単な問い)をくり返して,真の制約を見極めることが重要であると述べています.生徒にワークを実習させるときは,シンプルクエスチョンの重要性を伝えてください.また,真の制約を受け入れた上で,ポジティブな解を考えさせることもバックキャストにおいては重要です.この点もぜひ伝えてください.

 実は環境問題を考えると後ろ向きな思考になりがちなので,あまり好きではなかったのですが,ワークではバックキャストによりポジティブに考えられる課題を用意しました.

Work1での真の制約は電気がないことです.いつ復旧するか分からないので,情報源として重要な携帯電話の電源は切っておいて,バッテリーを節約することは必要かもしれません.一方で,電気のない状況なので逆に楽しむ方法としては,鍋でご飯を炊いたり,七輪で炙ったりするとキャンプのような楽しみが生じるかもしれません.実際に沖永良部島に住んでいるときに3〜4日程度の停電を経験しました.そのときは,音のない生活も良いものだなと感じました.

Work2は,勝てないなら出場しないというのはフォーキャストで,人数が足りないという制約を受け入れて,でも強豪と試合をすることで経験を積もうというのはバックキャストに当たると思いますが,どうでしょうか.

Work3では,温暖化を解決するためには,何かを我慢するということが提案されると思います.

Work4では,真の制約は何かを考えることは難しいのですが,例えば人やものが移動すると$\rm CO_2$の排出は避けられないので,人や物の移動を減らさなければならないことを真の制約とすると,その中で経済活動と温暖化対策を両立するには,地方で旬な食べ物(地産地消)を楽しみながらテレワークをするような社会の実現が,解決方法の1つになるかもしれません.

 ぜひ,生徒と考えることの難しさを楽しんでみてください.

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