力学的エネルギー保存則は,物体に保存力しかはたらかない(保存力しか仕事をしない)とき,力学的エネルギーは時間が経っても保存されるという法則です.したがって,力学的エネルギー保存則を考えるときは,系全体の写真を撮り,写真に写っている力学的エネルギーを全て書き出して,それらの間に保存則が成り立つというように考えます.
それでは,問題について解説します.
なめらかな水平面上で,ばね定数$k$のばねを$d$だけ縮めて発射された,質量$m$の物体の運動を考えます.
A点でばねを縮めたときを1枚目の写真とすると,その写真に写っているのばねを縮めている様子です.したがって,力学的エネルギーは$E_1=U_{\mbox{ばね}}$.
発射された物体が斜面の途中で止まったときは,最下面より物体の位置が高くなっているので$E_2=U_{\mbox{重力}}$です.この問題では力学的エネルギー保存則が成り立つので,$E_1=E_2$です.後は,$U_{\mbox{重力}}=mgh$,$U=\frac{1}{2}kx^2$を使って解いてください.
発射された物体が斜面から飛び出すときは,最下面より高い位置(C点)で運動している物体が写っています.したがって,力学的エネルギーは$E_3=K+U_{\mbox{重力}}$です.このときも力学的エネルギー保存則が成り立つので,$E_1=E_3$です.運動エネルギーが$K=\frac{1}{2}mv^2$であることを思いだして,必要な量を求めてください.
*『セミナー物理』(第一学習社)基本例題20の解説です.
0 件のコメント:
コメントを投稿